忍者ブログ

紫式子日記

Home > ブログ > > [PR] Home > ブログ > Books > 『多毛留』

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

『多毛留』


多毛留
多毛留




この絵本との出会いは、私の記憶が確かなら小学4年のときだった。

廊下に仮設された、「おすすめ図書」コーナーに並んでいた。

当時既にビアズリーを知っていた(キモい)小学生の私は、まずビアズリーっぽい絵だな、と思い、哀しい色遣いだな、と次に思った。



ストーリーはいたってシンプルで、残酷。

こんなんでいいのか、と衝撃を受けもしたが、こんなんでもいいのだろう、という、空虚な読後感が残った。

米倉斉加年の、行き場のない切なさに溢れた絵も、その読後感に拍車を駆けたのだろう。



10年後の先週金曜、私はバーで初対面の男性と相席する。

興が乗って、私が好きな画家の話になった。

そこで私は初めて、恐らく人生で初めて、他人にこの絵本について説明した。

当時は何とも思っていなかったこの絵本の要素――父と息子、朝鮮人、血といった要素――が次々と私の口をついて出て、それに伴って私がこの10年、他の場所で培ってきた知識の体系にするすると絡みついていった。

また読みたい、と思った。

今の私だからこそ、読むべきなのだろう、と思った。




そして、この絵本の影響で未だに私はナヨい男好きなのかなぁ、と邪推してみたりしてみなかったり。。。

拍手[0回]

PR

Comment0 Comment

Comment Form

  • お名前name
  • タイトルtitle
  • メールアドレスmail address
  • URLurl
  • コメントcomment
  • パスワードpassword

PAGE TOP