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紫式子日記

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「20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代」展@渋谷Bunkamura

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実はあんまり乗り気じゃなくて、ル・シネマでやってる
『ダウト』を友人に勧められたからついでにザ・ミュージアムも
見とくか……みたいな感じで見に来ただけ(笑)。しかも最終日……。

しかし来て良かった!
ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館
っていうところが改修工事のため休館⇒作品を借りてこれたみたいで、
本当に所謂「20世紀美術」の花形が揃ってるんですよね。

表現主義(マティス・シャガール)、キュビズム(ピカソ・ブラック)、
シュルレアリスム(マグリット・エルンスト・タンギー)、
そしてカンディンスキーとクレー。



印象に残った作品のメモ。

【表現主義的傾向の展開】
○ ジョージ・グロス『恋わずらい』
 この人は知らなかったんですが、灰色っぽい独特な色合いの人物が目を引きました。
 戦時中のカフェで恋に思い悩む画家自身が描かれていて、
 「戦時中でも人は恋をするんだ!!」みたいな体制への批判にもなっているそうです。
 そういう、批判的・風刺的な作品が多い人らしいです。

○ マックス・ベックマン『夜』
 第一次大戦後の、貧困と混乱に陥ったドイツを象徴的に描いた作品。
 教科書で読んだことはありますが、絵画で「見る」のは初めてだったのでぎょっとしました。
 エルンストの『聖アントニウスの誘惑』に似てる気がした。不吉な有機的群像。

○ マルク・シャガール『バイオリン弾き』『祝祭日』
 シャガールの作品の中でも、特にユダヤ文化色が強い2作品。
 ユダヤ人の生活に音楽は欠かせず、特にバイオリンは欠かせない……というキャプション。
 そうなのかー、ふーん。と。
 『祝祭日』は白を基調とした、ちょっと東洋的な雰囲気も感じる作品。


【キュビズム的傾向の展開】
○ パブロ・ピカソ『二人の座る裸婦』
 デカッ!! ってかんじ。
 この人もひょっとして、巨女願望的傾向ある?

○ ジョルジュ・モランディ『静物』
 モランディは、油彩の勉強をするにあたって模写したんですよ、中学のとき。
 すごく好き。静謐な感じ、落ち着いているところがすごく。
 静物画なのに、静かすぎてちょっとシュルレアリアスムっぽいところも。


【シュルレアリスム的傾向の作品】
○ ルネ・マグリット『とてつもない日々』
 裸の女性が男性に襲われている「とてつもない」状況の絵なんだけど、
 その様子は女性の身体のラインに沿って切り抜かれて描かれていて、
 一見すると怯えている女性しかいないように見える絵。
 「女の被害妄想」だってことを言いたかったのかなー、となんとなく。

○ ルネ・マグリット『出会い』
 この作品に付いていたキャプションが秀逸だったので、引用。
 「この画家にとって絵画とは、多分に記号的な、約束事的なものなのである。」

○ ルネ・マグリット『庶民的なパノラマ』
 こちらは、マグリット自身の言葉。やはりこの人あたまいい。
 『画家は、その元になっているあなた方が賞賛しえない類のものに
  似せたものによって、あなた方の賞賛を獲得する』

○ マックス・エルンスト『揺らぐ女』
 エルンストは技法によってえらい雰囲気が違うので、好きなのと嫌いなのとが
 私の中でもあるのだけれど、これは好きな方のエルンスト。色合いがきれいですよね。
 女性が女性器みたいな形の機械に振り回されているところも、なんか好き。

○ リヒャルト・エルツェ『日々の苦悩』
 この人も初めて知った人。
 デカルコマニーを使っていて、エルンストぽいんですが、
 エルンストのデカルコマニーより色がパステルカラー寄りできれい。

○ マックス・エルンスト『我々の後の母性』
 タイトルが好き。

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