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紫式子日記

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ドッペルゲンガー

心理学で、自己視幻覚の一つ。自分が鏡にうつし出されるような幻覚をいう。二重身。

毎度お馴染み、講談社『日本語大辞典 第二版』より。



心理学云々とはかなりズレたはなしをさせていただきますが。
これね、実はこないだ初めてまともに意味調べたの。

文学の授業で出てきたんだよ。

そのときは「自分が二人いる現象」みたいな使われ方してたんだけど。



芥川龍之介がね、一回も行ったことがない帝国劇場(だったかな?)で自分が目撃されたという情報を耳にしたらしいんですよ。

もしその目撃したという人がそれを言い広めたら、そのことはそれを聞いた人たちの間で事実になる。

芥川はその時間に帝国劇場にいたことになる。

もう一人の芥川。

そして実際の芥川の存在の方が希薄になっていく。



そんなん思い違いじゃん、と言ってしまえばそれまでなんだけど、真実なんてそんなもんだと思うけふこのごろなわけである。

言語化したもん勝ちである。

言葉にしてしまえばそれがその人の中の真実だ。

ひとりひとりがメディアになる。

それが共有されれば恐いものなしだ。

マスメディアになる。



万事がごっこ遊びで、万物を万人が「存在する」ということにしている気がしてきた。

デカルトの真似をして、万物を存在から疑ってみる。

「存在する」と言い切ってしまえば存在するのだ、殊観念的な事物においては。

言い切ることをたくさん重ねて、真実を作っていく。

世の中実在しないものだらけなのだろう。

東京事変『遭難』「真実等に興味は無い」だけを、耳が拾ってしまう。

下品な芝居で定刻

冷笑。
私は果たして何人いるのやら。

あるいは、そもそもいるのやら。

誰にも何も言い切れないこの恐怖感と、

安心感。

目が覚めて、全てが創造主の描いた夢だったとしても、



不思議ではない。



安心して、私はこんなことを書いた翌日だって朝早く起きてバイトに行くんだから。

と、ここに書くことのアンリアリティも如何ほどぞ。

笑。

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